<あとがき>


2011年11月。本編と番外編の加筆・修正を完了し、17年の付き合いとなった『黄金の晩餐』を完全に終了としました。

本の形にしようと思い立って3年もかかってしまいましたが、その間に結婚したり出産したり・・・色々と人生の節目を迎え、

今また第2子の出産を間近に控えています。

今回、加筆・修正した結果・・・当初の約1.7倍ほどの長さになりました。


大前提として、この作品はある意味分かりやすい冒険活劇です。なので表現の婉曲や難しい比喩を極力減らし、

少なくとも小学生(高学年)あたりからは確実に読めるだろうという書き方を心がけています。

他には登場人物のより細かな心理描写を加えたり、自分の中で不透明さが気になっていた世界観や国の政治体制などを

肉厚にしたのがメインで、大きな流れや結末は変わりません。


ただ、新たなシーンを大幅に付け加えたのが第19章の『晩餐』です。月夜の神殿で晩餐をする前に、シフ、グラディウス、カッツの3人が

それぞれ街中に出て行き、戦いに出る決意を個々の中に強く見出します。この部分を改訂している時期がちょうど8月・・・テレビでも戦争の

特集が多く組まれているさなかでした。それを見て、戦いに行く立場、見送る立場、遺族となった立場、本当に色々な人の中の『戦争』という

リアルな歴史を改めて知り、その感情を文章に込めてこのような形になりました。

作中に戦争というものを取り入れてはいますが、私は(本編の中にも同じような描写がありますが)シフを『正義』だとも、戦争を『正しいこと』だとも

思っていません。正義はそれぞれの中にあって、何が悪で何が正義かなんて誰にも決めようがないことだと思っています。

ただ、戦争により大切な人を失うといった、やるせなく、大きな悲しみが生まれるのも事実。

そういう『リアル』を私なりに追求したのがこの19章で、主人公たちの決意も、迷いも、生への執着も、色んな形で詰めこんでいます。

そういった意味では、一番気に入っている章かもしれません。

読んでいただいた方の心に、どこかワンシーンだけでも響いた部分があれば、とても嬉しく思います。


1994年、作者11歳の時に構想を開始。2004年にネット上で連載を開始し、同年に完結したこの作品ですが、今度は全文改訂という形で

2011年。実に17年という年月が流れ、ネットで連載を開始した頃にお知り合いになった方々とも7年のお付き合いとなります。

本当に多くの方々に支えられ、見守って頂いたことへの感謝は言葉では言い表せません。

今後は子育てもますます忙しくなり、なかなかこれほど長い小説を打つ機会はなくなるかもしれません。でもいつかまた形にするために

11歳の頃のように、頭の中で色々とアイデアを練っておきたいと思っています。

いくつになっても、物語を空想してわくわくするといった部分は、常に脳のすみっこに持っていたいので(笑)


ここまで読んで下さった全ての皆さま、本当に有難うございます。




    2011年11月某日 ayumi



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